Volkswagen / TYPE1(フォルクスワーゲン / 空冷ビートル)の購入を考えている方は、サブカー(趣味)としての購入を考えている人もいれば、メインカーとしての購入を考えている人もいると思います。空冷ビートルは年式によっては立派なクラシックカーなので、頻繁に壊れるのではないか?クーラーもついてないし夏は乗れない?ヒーターはついてるの?などなど。私も購入を考えていた当時はすごく調べました。そんな中で、いくつか空冷ワーゲンの専門ショップを回っているうちに、「こいつだ!」と思うビートルに出会い、その勢いのまま購入に至りました。私の所有する空冷ビートルは1960年の非常に古い空冷ビートルですが、立派なメインカーとして活躍してくれています。購入する時の注意点や、私が所有する前に抱いていた疑問について、実際に所有してみた実体験を元にお伝えしたいと思います。
空冷ワーゲンを購入するなら、ボディの状態は超重要
VW / TYPE1(空冷ビートル)の最終生産は2003年です。車は10年経つと中古の市場でも一気に価値が落ちますが、一番新しい空冷ビートルでも10年を、とうに越しています。私の所有している1960年など、完全にクラシックカーです(豆知識:ヴィンテージカーという呼び方は1930年以前の車を指すようです)。現代の電子制御たっぷり、新品パーツいっぱいの車とは全くの別物なので、全てが完璧に整ってる車両など無いと言っても良いと思います。それだけに、購入する際の車両の状態は非常に重要です。では何に気をつければ良いのでしょうか?
絶対に空冷ワーゲン専門ショップで購入する
個人的に、これは『絶対』です。なぜかと言うと、トラブルが起きた際に、専門ショップの購入であればサポートを受けたり相談をする事ができます。古い車だけに、専門店でないとトラブルがあった際に適切なアドバイスやサポートを受けられない可能性が高いです。オークションやフリマアプリなどの個人売買だと相談すら出来ません。専門店以外での購入や、個人売買で購入しても問題ないのは、空冷ワーゲンの知識があり、自分で直せる人くらいじゃないでしょうか。私はバイクのエンジンを自分で載せ換えた経験があったり、キャブのオーバーホールや、電装系の載せ替えや、配線延長などは自分でやれる程度の知識と工具は持っています。それでも、空冷ビートルのトラブルでは原因がわからず困る事が多々ありますので、購入したショップさんには今でもとてもお世話になっています。
という事で、空冷ワーゲンを買うなら専門ショップで!自宅から行きやすい場所にあるショップさんだと、なお良しです。
細かいことよりも、ボディの錆やフレームを確認する
細かいパーツのことはあまり気にしてもしょうがないです。ほとんどのパーツは乗りながら調子が悪かったり、壊れたら交換していくことになります。パーツ1つとっても、何十年も経っているので、どのみち細かいパーツは少しずつ交換することになります。購入時に細かいところを見ていくとキリがないと言うか、そもそもよくわからないと思います。
しかし、ボディのサビやフレーム、下回りはだけはチェックした方が良いです。車の大元となる部分なので、これがダメだとどうにもなりません。もちろん多少のサビは仕方ないですが、サビや腐食の上からガッツリ塗装されてしまっているような車もあるので、ドアなどパーツとパーツの繋ぎ目を見ると比較的わかりやすいかなと思います。あまりに錆が多い場合は要注意です。フレーム、下回りも同じです。自分でも下から覗いて確認しつつ、ショップの方に「フレーム、下回りの状態ってどうですか?」と聞いて、状態を教えてもらうのが良いと思います。
空冷ビートルは高年式と低年式どっちがいいの?
「高年式は安いし、おすすめ」みたいな記事をよく見ますが、個人的には、一概にそうとも言えないと思っています。
最近は高年式の価格も上がってきていますし、エンジンがキャブ(アナログ)ではなくインジェクション(電子制御)です。インジェクションは基本的に壊れたらアウトなので、壊れた場合はキャブに変更する事になります。費用は10万〜15万円くらいで、高年式とはいえ、既にそれなりの年数が経過しているため、インジェクションが壊れる可能性はそれなりに高いと思います。また、空冷ビートルは1978年にドイツでの生産が終了し、それ以降はメキシコ(一部ブラジル)生産に変わっていますが、パーツの質や作りはドイツ生産の頃に比べると悪くなっています。
もちろん良い点も多くあります。最近高騰しているとはいえ、低年式に比べて安く購入できますし、高年式だと純正でクーラーが付いている個体もあります。やっぱりクーラーはあると嬉しいですよね。そして、高年式の方が純正パーツの球数が多く、安く手に入りますし、低年式と比べると窓がかなり大きくなっているので視認性も高いです。
では、低年式はどうなのかというと、購入時の車体価格は高く、最近さらに高騰してきています。そして、低年式のオリジナルパーツは数が非常に少ない上に、これまた高いです。特に〜1960年代前半はリビルド品(中古品)でも信じられないくらい高い値段がつきます。純正パーツに拘らなければ、社外品のパーツは出ているので、パーツが手に入らなくて直せないという事態にはなりにくいと思いますが、社外品は社外品で質の良くないパーツが多いので、折角の低年式なのに、パーツを社外にしすぎると、低年式が台無しになってしまいます。さらに年式によってはハザードがなかったり、窓が小さい分視認性が低かったりと現代の車ではあまり発生しないような悩みもあります。
しかし、そんなデメリットを吹き飛ばすほど、低年式の見た目の良さは惹きつけるものがあると思います。低年式と高年式は外見だけでも窓の大きさ、角度などが大きく変更されていますし、内装も高年式はプラですが、低年式はボディと同素材の同カラーで高級感があります。同じ空冷ビートルでも、低年式と高年式を並べると見た目がかなり違います。また、昔の高級車でもあるので、作りは非常に良いです。
どっちも良し悪しがありますが、個人的には1978年より前のドイツ生産の車体が1番のおすすめで、少しでも安く購入したいという場合は、高年式かつ、キャブに変更されている個体がおすすめです。
空冷ビートルはファミリーカーとして使える?
十分に使えます!私もメインカーとして、ファミリーでも個人でも使っていますが、支障があるのは夏くらいです。夏だけは何かしらの暑さ対策を立てる必要がありますが、それ以外はなんの問題もなくメインカーとして、ファミリーカーとして普段使いから、旅行、キャンプと活躍してくれています。そもそも、空冷ビートルは当時の標準的な家族構成の大人2人+子供3人を載せられる事が開発条件に入っていました。小さいお子さんがいる場合はチャイルドシートが必要だと思いますが、チャイルドシートは荷造り用のラチェットを使えば、シートやフレームに固定することができるので、問題なく使えます。
ただ、古い車ということだけは忘れないでください。現代の車と同様に扱うことはできませんので、車を単なる移動手段と考えたい方には向きません。車は移動手段ではあるが楽しみたい。移動手段であり趣味でもある。という方には最高の選択肢だと思います。あと、可愛い見た目なので子供は喜びますよ。